このたび、テスカスさんからお誘いいただき、初めて投稿させていただきます。
日本では、EV≒日産リーフという印象を持たれている方がほとんどではないでしょうか。
しかし、日本でも、少しずつTESLAのニュースや報道を目にする機会も増えてきました。
特に、2019年は、市川市のニュースで大々的にワイドショーに取り上げられたほか、日本でもModel 3の納車が開始されたことで、私を始めとする、新規TESLAオーナーが続々と誕生しており、TESLA車を見かけることも以前より増えてきました。
実は、TESLA Model 3のSR+と、日産リーフ e+は、価格帯が非常に近くなっています。
そこで、この2台をいろいろな面から比較して、どんな違いがあるのか、どんな人におすすめなのかを考えてみます。
価格帯
TESLA Model 3の価格は、最も安いSR+が429万円~で、最上位のPerformaceは727万円~となっています。
※2021年2月17日にモデル3の価格改定
一方、日産リーフe+は、XとGのグレードに分かれていて、Xが441万円~で、Gが500万円~となっています。
一般的な認識としては、TESLA車は高額車であると見られますが、Model 3は、従来のSやXと比較して低価格で、一般的なベンツやアウディといった輸入車における、売れ筋の価格帯になっています。
逆に、リーフは300万円台とEVとしては低価格でしたが、航続距離を確保するために、大容量のバッテリーを搭載したことで、高額化する傾向にあり、S・Xから比べて低価格化したModel 3と価格帯が非常に接近しています。
そこで気になるのは、リーフ e+とModel 3 SR+のどちらがお得なのか?、どんな違いがあるのか?という疑問です。
スペック比較
まずは、ボディーの大きさなど外観を比べてみます。
項目 | 日産リーフ e+ | TESLA Model 3 SR+ |
全長(mm) | 4480 | 4694 |
全幅(mm) | 1790 | 1849 |
全高(mm) | 1565 | 1443 |
ホイールベース(mm) | 2700 | 2876 |
最低地上高(mm) | 135 | 140 |
最小回転半径(m) | 5.2 | 5.9 |
重量(kg) | 1670 | 1612 |
ボディーは、Model 3の方が一回り大きくなっています。
立体駐車場に駐車する際、幅1850mm以下というのがところが多いですが、Model 3とリーフは、どちらも問題なく利用することができます。
最小回転半径は、駐車場などの小回りが要求される場面で目安となります。
一般的に、最小回転半径は5.5m以内だと取り回しがしやすいと言われており、リーフの5.2mという値は、使い勝手の良さに繋がります。
逆に、Model 3の5.9mは、Uターンなどの際、回り切れない場合もある値になっています。
また、少々意外ですが、重量はModel 3の方が大人一人分ほど軽くなっています。
次は、駆動系などを中心としたスペックです。
項目 | 日産リーフ e+ | TESLA Model 3 SR+ |
Cd値 | 0.28 | 0.23 |
駆動方式 | FF | RWD |
最大出力(kW) | 160 | 211 |
最大トルク(N・m) | 340 | 450 |
最高速度(km/h) | 157 | 225 |
0-100km/h加速(秒) | 7.3 | 5.6 |
Cd値(空気抵抗係数)は、走行時に空気に対する抵抗を表す指標で、数値が小さいほど、抵抗が少ないことを表します。
空気抵抗は速度の2乗で増えので、速度が速くなるほど、影響が大きくなることから、高速走行では、Model 3の方が向いていると言えます。
最高速度は、どちらも普段使いとしては問題ありません。
EVの特性上、速度が上がると、空的抵抗が増えることで電費が悪化し、航続距離が短くなります。
航続距離が短くなると、充電時間が増えてしまい、かえって、移動に時間がかかる可能性もあるため、経済速度での運転を心がけましょう。
EVの特長の一つとして、発進時の加速の良さがありますが、どちらも十分な性能があり、信号待ちからの発進では、モーターの滑らかで力強い加速のおかげで快適に乗ることができます。
また、モーターは電子制御のため、雪道のような低μ路でも素早い制御により安定して走行することができます。
リーフは、FFのみですが、Model 3は、Long RangeやPerformanceに設定されているように、AWDモデルもあります。
色(エクステリア)
色の名前や発色には違いがありますが、大まかに分けると、白・黒・グレー・青・銀・赤となります。
面白いことに、Model 3にシルバーがない以外は、他の色はどちらも同系色が選べます。
リーフはさらに、ルーフを黒にした2トーンカラーが選べます。
シルバーや、2トーンが欲しい場合は、リーフがおすすめです。
Model 3はグラスルーフのため、塗装はありません。
色(インテリア)
インテリアカラーは、Model 3は日本ではブラックのみ(他国では、ホワイトも選択可)現在はホワイトインテリアを選択できます。リーフは、ブラックとグレー、そして、シート地を本革と織物(バイオPET)の計4つから選べます。
荷室容量
たくさん荷物を積めた方が便利です。
項目 | 日産リーフ e+ | TESLA Model 3 SR+ |
トランク(L) | 435 | 425 |
トランク下(L) | 0 | 85 |
フランク(L) | 0 | 65 |
リーフは、モデルチェンジ前の370Lから435Lに大きくなり、使い勝手がよくなりました。
また、高さ方向が高くとれるのもハッチバックのリーフが有利な点です。
一方、Model 3は、独立したトランクルームになっており、単体ではリーフより少し狭くなっていますが、トランク下やフランクの容量を合わせると575Lという大きな荷室容量を確保できます。
また、リーフでは、後部座席を倒すと、ラゲッジスペースとの間に大きな段差が生じますが、Model 3では、ほぼフラットにすることができます。
運転支援
リーフは、Xグレードならオプション、Gグレードなら標準でProPILOTという、走行中に車線を認識して車線維持ができる機能があります。
Model 3では、同じくAutopilotという機能が標準で装備されています。
実際に両者を乗り比べてみましたが、車線の認識、制御の維持、手放し後の警告間隔では、TESLAのAutopilotが優れていました。
一方、自動で駐車を行う機能である、リーフのProPILOT Parkと、TESLAのAutoparkでは、駐車方向の選択、駐車枠の認識及び調整、駐車のスムーズさで、ProPILOT Parkが優れていました。
特に、MC後のリーフでは、ProPILOT Parkが改良されており、以前よりも素早く滑らかに駐車が行えるようになっています。
バッテリー
EVにおける心臓部がバッテリーです。
バッテリーは、EVでもっとも高価な部品であると同時に消耗品であり、経年劣化によって、徐々に航続距離が短くなっていきます。
EVはバッテリーがすぐにダメになるとか、交換に何百万円もかかるという発言をしている人がいますが、現在のEVに採用されているバッテリーは、一般的な自動車で要求される耐久性を実現しており、一般的な使用において、売却・廃車までに、交換の必要はありません。
特にModel 3のバッテリーは、劣化が少なく、タクシーとして50万km以上走るようなケース以外では、まず、バッテリーの交換が必要になることはありません。
また、リーフとModel 3は、どちらも保証期間が8年または16万kmとなっており、保証期間内に規定値以下の容量になった場合は、無償で修理を受けることができます。
寿命の他に、リーフの40kWhモデルなどでは、真夏に何度も急速充電を繰り返すと、バッテリー温度が上昇し、安全のため、充電速度が制限される場合がありました。
しかし、リーフ e+では、バッテリーの接続が2並列から3並列になったことで、バッテリーの内部抵抗が減っため、発熱が少なくなり、以前より問題は起こりにくくなっています。
充電
EVにとって欠かせないのが充電です。
この表は、利用可能な充電の種類をまとめたものです。
〇 標準で使用可能
△ オプションまたは、別売品で対応可能
× 使用不可
急速充電
TESLAの大きな特徴として、TESLAが独自に整備を進めている、専用の急速充電設備の、Superchargerがあります。
日本では、全国に23ヵ所に設置されており、一般的なCHAdeMOの2倍以上の出力である最大130kWで充電を行うことができます。
海外では、最大250kWのSuperchargerV3の導入も進んでいます。
リーフも、e+から新しいCHAdeMO規格に対応したことで、最大70kW程度で充電を行うことができるようになりました。
CHAdeMOでは、充電時間に応じて料金が課金されるところが多いため、充電速度が速くなると、同じ時間でも多くでの電力を充電できるので、結果的に充電料金が安くなったことになります。
充電カード
従来、リーフには、通称旅ホーダイと呼ばれる月額2000円で、全国の急速充電器が使い放題になるZESP2という充電サービスがありましたが、現在は、ZESP3へ移行したため、新規に加入することはできなくなりました。
ZESP3は、リーフ以外でも加入することができるため、今回比較する2台ではどちらでも充電カードに差はありません。
なお、TESLA専用のSuperchargerは、車両のアカウントで自動的に認証が行われ、アカウントに登録されたクレジットカードが利用料金が請求される仕組みになっているため、充電カードはありません。
普通充電
普段、家庭などで使用する普通充電としては、リーフ e+は、6kW、Model 3 SR+は、6.4kWまで対応しており、対応する充電器または、充電ケーブルを使用することで、100Vや200Vから充電を行うことができます。
Model 3の場合、専用の普通充電器である、Wallconnectorを自宅の駐車スペースに設置することで、簡単に充電が行えるようになっています。
本体に付属する充電ケーブルと充電器
リーフ e+
リーフ e+は、標準で200Vの充電ケーブルが付属しています。
自宅で充電する場合は、駐車スペースに200Vコンセントを設置しておき、充電ケーブルを使って充電します。
Model 3 SR+
Model 3 SR+では、以下の3つから、ユーザーのニーズに合わせて、充電オプションを選択できます。
選択しなかった充電ケーブルや充電器についても、オプションとして別途購入できます。
1.TESLA Wallconnector
もっとも標準的な方法です。駐車スペースに充電器を設置しておくことで、簡単に充電することができます。
最大充電出力は、SR+の場合は200V/32A=6.4kW、Long Range以上では200V/48A=9.6kWまで対応しています。
2.CHAdeMOアダプター
自宅に充電環境がなく、公共のCHAdeMO充電器を使って充電する場合に使用します。
最大50kWまでの出力に対応しています。
3.Mobile connector
100Vや200Vといったコンセントを利用して充電する場合に使用します。
先端にあるコンセント部分のケーブルを交換することで、100Vや200Vといった各種コンセントに接続することができます。
給電
充電とは逆に、車両から外部へ電力を供給する機能は、Model 3を始めとするTESLA車にはない機能で、バッテリー容量を考慮すると、リーフは極めてコストパフォーマンスの高い蓄電池として利用することができます。
購入・試乗方法
一般に、自動車は、人生で家に次いで高価な買い物です。
購入する際は、事前に試乗を行い、実際に確かめてから購入をしたいという人も多いでしょう。
日産のリーフ e+ の場合
日産のリーフ e+は、全国にある日産ディーラーで取り扱っているため、ホームページで希望するグレードが試乗できる店舗を検索し、最寄の店舗で試乗することができます。
もちろん、気に入れば、その店舗で注文することもできます。
TESLA Model 3 SR+の場合
TESLAは、ディーラーではなく、メーカーから直接ユーザーへ販売する直販方式を取っています。
そして、注文する際は、TESLAのWebサイトで直接注文を行います。
試乗する場合は、主に、南青山・川崎・名古屋・大阪にあるTESLAストアと呼ばれる店舗で、試乗することができます。
店舗は、関東と関西の大都市圏にのみあるため、特に近くに店舗のない、東北地方の住んでいる人は、試乗に行くが少々大変です。
価格比較
まず、最小限の構成で見てみます。
※2021年2月17日に大幅な価格改定が行われました。SR+は429万円、ロングレンジは499万円
購入時の構成では、リーフ e+よりも、Model 3 SR+の方が自由度が少ないため、Model 3 SR+を基準にして、考えます。
これは、リーフ e+ Xで最小限の構成にした見積もりです。
オプションとしては、プロパイロットとドライブレコーダーのみを選んでいます。
差額は、(リーフ)4,653,411円ー(モデル3)4,348,550円= 304,861円になります。
リーフのオプションを最小限に絞ると、モデル3 SR+はリーフe+より、30万円以上安く購入できることが分かります。
それではモデル3の装備に相当するオプションを加えた金額を計算してみます。
可能な限り、モデル3 SR+に近づけたのが、こちらの見積もり。
モデル3 SR+との差額は、(リーフ)5,270,949円ー(モデル3)4,348,550円=922,399円になりました。
内訳はこのようになります。
項目 | 説明 |
グレード | プロパイロット等が最初から含まれている Gグレードを選択 |
内装色・シート | Model 3 SR+のビーガンレザーに合わせて、本革(黒) |
ホイール | Model 3 SR+は235/45R18ですが、 リーフでは、選択できないため、215/50R17 |
セットパッケージ | 後席のシートヒーターは 、Model 3 SR+では、 ソフトウェアロックにより無効化されています。 |
ラゲッジパック | 後座を倒した際に生じる大きな段差を改善する、 ラゲッジアンダーボックスとトノカバーのセット |
視界 | Model 3 SR+では全てLED |
ドライブレコーダー | TESLA DashCamに相当 |
シート/内装 | Model 3 SR+のグラスルーフはIRカット仕様 |
セキュリティ&セーフティパック プレミアム | セントリーモードに相当 |
リバース連動下向きドアミラー | Model 3 SR+では標準で設定可 |
いかがでしょうか、後席シートヒーター以外は、全てModel 3 SR+では標準装備されているものになります。
そして、リーフe+では手に入らないものは下記の通りです。
・加速性能
7.3秒 vs 5.6秒
・最高速度
157km/h vs 225km/h
・パワーシート
手動 vs 12wayパワーシート(プロファイル連動 & イージーエントリー対応)
・テスコピック
手動上下のみ vs 電動テレスコピック(プロファイル連動 & イージーエントリー対応)
・荷室容量
435L vs 575L
・OTAアップデート
ナビの地図情報のみ vs システム丸ごと更新可
・ナビの解像度
9インチ(800×480) vs 15インチ(1920×1200)
また、リーフは走行中、ナビ操作が制限されますが、Model 3は制限されません。
・エンターテインメントとイースターエッグ
Model 3には、各種ゲームや、おなら機能等いくつものイースターエッグが用意されています。
こうして比較してみると価格面でも機能面でもモデル3 SR+の方が優れていることがわかります。
まとめ
リーフ e+がおすすめな人
・インターネットで数百万円の商品を購入することに抵抗がある。
・ボディーの組付け精度を気にする。
・ディーラーの人に、手続きをお任せしたい。
・タッチスクリーンより、物理スイッチで操作したい。
・故障やメンテナンスが心配。
・V2Hの給電機能を使いたい。
・自宅充電できない、または、CHAdeMOをメインで使う。
・シルバー、2トーンカラーが欲しい。
・日本車のEVが欲しい
Model 3 SR+がおすすめな人
・できるだけ安く乗りたい。
・インターネットで、数百万円の商品をポチることに抵抗がない。
・分からないことは、ググって調べられる。
・補助金申請の手続きなどを自分でできる。
・自宅で充電できる。または、近くにSuperchargerがある。
・バッテリーの劣化を気にせず、長い期間乗りたい。
・OTAアップデートで最新の機能を使いたい。
・長距離移動を快適にしたい。
・ガラスルーフの解放感が欲しい。
・価格も、コストパフォーマンスも重視する。
・世界一売れている、高性能なEVが欲しい。
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