6/11テスラはフルモデルチェンジしたモデルSプラッドのデリバリーイベントを行い、この車の詳細を発表しました。イベントの内容を新型モデルSのマニュアルも含めながら詳細をまとめておきます。
ハンマー男登場

画像:YouTube Liveより
まず壇上に現れたのはテスラのデザイナーであるフランツ。サイバートラックお披露目時に使用した巨大ハンマーを手に登場しました。本人曰く「新型モデルSでいくつかの記録をぶっ壊すから持ってきた」とのこと。
もはやお家芸並に定着してて、ユーモアセンスも非常に好感が持てます。
ポルシェより速く、ボルボよりも安全

Tesla Inc
イーロンマスクは「モデルSプラッドはポルシェよりも速く、ボルボよりも安全だ」と豪語。
このグラフはクラッシュテストにおける乗員の負傷リスクを表したもの。NHTSAが2011年からテストした全50車種の内、モデル3スタンダードレンジプラスに次いでモデルSプラッドが安全であることを示しています。
※NHTSA:米国運輸省道路交通安全局
全く新しいモーター

縦軸:馬力 横軸:速度
量産車として初めてカーボンでコーティングされたローターを持つモーターを開発した。カーボンコーティングされたローターを作るには、非常に高い強度で巻き付ける必要があり、これは非常に難しい。
このローターを作るための機械が存在しなかった為、テスラが新たな機械を設計した。その結果、手で持てるくらい小さなモーターでありながら、2トンの車を2秒以下で時速96kmまで加速させることが出来る高効率のモーターが完成した。
このモーターの回転数は完全に狂っているので、遠心力でローターが膨張しようとするが、カーボンオーバーラップがそれを支えている。非常識なパワーを持ったモーターだ。
安全性を確保した上で0ー96km/hが1.99秒、これは現在販売されている量産車の中では世界一速いとのこと。
最も空気抵抗が低い
新型モデルSのCd値(空気抵抗係数)は「0.208」
しかもこの数値は実際にタイヤが回転している時の数値であり、ホイール形状による空気抵抗を加味した上での結果です。先日メルセデスから発表されたEQSの後輪駆動モデルはCd値0.20ですが、これは車両停止・19インチホイール装着時という条件付き。
刷新したインテリア
ディスプレイは横型へ

Tesla Inc
2012年6月にモデルSを販売開始して以来、初めてインテリアを完全に刷新しました。
ディスプレイは縦型から横型へ変更。完全自動運転の時代を見据えて映画やゲームなどのエンターテイメントが最大限楽しめるようになりました。
シフトレバー無し・ヨークステアリング

Tesla Inc
ステアリングは丸型ではなくヨーク型を採用。これによりドライバーは今までよりドライビングに集中出来ます。そして今回のモデルSからシフトレバーは無くし、ディスプレイかハザード横のタッチボタンのいずれかでギアチェンジ出来るようになります。
オートシフトという機能も搭載されており、ギアチェンジを車に判断してもらうことも可能です。テスラは運転までの手順を極力省くことに注力していてスタートボタンもありません。あらかじめ登録してある鍵で解錠すれば、ドアを開けた瞬間そのユーザーが設定したシートポジション・ステアリング位置へ自動調整してくれます。オートシフトを有効にしていれば乗車後は自動でDレンジへシフト(前方に障害物があればRへシフト)、その後ブレーキペダルを一回踏むことによりアクセルが有効化されます。GPSの情報ともリンクする為、より精度の高いオートシフトが可能。
アップデートを重ね、将来的にはドライバーによる操作は最小限にるとのこと。
エアコン
モデル3・Yと同じくエアコンの送風口はスリット状になり、デザインがよりシンプルになりました。後席用のエアコンは8インチのリアタッチスクリーン付近から吹き出します。いずれもタッチスクリーン上を指でなぞって風向きの調節が可能です。
運転席・助手席・後席のそれぞれ3つが独立して温度設定でき、風向きはタッチスクリーンをなぞることで変えることが出来ます。
USBポート

Tesla Inc
Qiに対応したスマホドックがフロントとリアにそれぞれ2つずつ備わっており、最大15Wで充電可能。
フロントセンターコンソールの中に、2つのUSBポート(36W)があります。USBデバイスの充電や、スマホやUSBデバイスからのオーディオファイルの再生に使用できます。
リアは8インチタッチスクリーンの下に2つ。こちらは充電専用です。
グローブボックス内のUSBポートはセントリー(ドラレコ)用の記録メディアを挿すことが出来ます。
ちなみにシガーソケットはフロントのコンソール内にあります。連続使用で12A、ピーク時は16Aまで対応。
アクティブ・ノイズ・キャンセリング

青い部分がノイズキャンセリング用のマイク
モデルSには、アクティブ・ノイズ・キャンセリング機能が搭載されています。フロントシートに設置されたマイクが、車室内に侵入してくる外部からのロードノイズを検知し、スピーカーからノイズキャンセリング音を自動的に発生させます。
サウンドシステムはテスラによる開発なので今後も継続して改善を行うとのこと。使用されている音源(ストリーミングサービス、Bluetooth)や不意にビットレートが変化した際の対応など、最適なリスニング環境を実現します。
New window manufacturer? pic.twitter.com/m4gjhkl7kR
— Tesla Raj (@tesla_raj) June 11, 2021
ガラスメーカーはAGP社で、2枚のガラスにPVB樹脂がサンドされた遮音性の高いガラスが採用されています。
全く新しいUI
V11(仮称)ではユーザーによるカスタマイズ性がかなり高くなっているようです。
頻繁に使用するアプリをタッチスクリーン下部に常駐させたり、エンタメ系のウィンドウを助手席側に移動させることが可能に。
PS5並の処理性能

Tesla Inc
自動車として初めてインフォテインメント用にAMDのAPUが搭載されています。
最大10TFLOPの処理能力を備え、なんとプレイステーション5並み!デモでは「サイバーパンク2077」をプレイする様子が放送されました。今後はゲーム会社と協業して様々なゲームタイトルの移植を進めていくと思われます。もちろんワイヤレスコントローラーでの操作にも対応。
Tesla | PlayStation 5 | Xbox Series X | |
CPU | ー | 7nm AMD Zen2 | 7nm AMD Zen2 |
CPU構成 | ー | 8C/16T | 8C/16T |
CPUクロック | ー | 最大3.5 GHz | 最大3.8GHz |
GPU | AMD RDNA2 Navi 23 | AMD RDNA2 | AMD RDNA2 |
GPU構成 | 32 CUs (?) | 36 CUs | 52 CUs |
GPUクロック | 2.44 GHz | 2.23 GHz | 1.83 GHz |
GPU 演算性能 | ~10 TFLOPS | 10.28 TFLOPS | 12.15 TFLOPS |
メモリ容量 ・種類 | 8GB G6 | 16GB G6 | 16GB G6 |
最大 メモリ帯域幅 | 224 GB/s | 448 GB/s | 560 GB/s |
性能目標 | 最大200mph | 4Kで 最大 120fps | 4Kで 最大 120fps |
小売価格 | $79,990〜 | $399*-$499 | $499 |
発売日 | 2021/6 | 2020/11 | 2020/11 |
備考 | 車載システム | Digital Edition |
AMDが開発したCPU&GPUの統合デバイス。1チップのみで構成されており製品の小型化が可能。
諸元表
車両の大きさ

画像:マニュアルより
全長 | 5021mm |
全幅(ミラー無) | 1987mm |
全幅(ミラー有) | 2189mm |
全高 | 1431mm* |
ホイールベース | 1431mm |
最低地上高** | 117,126,158 mm |
*車高ノーマル時
**最低・通常・最高
荷室
フランク | 89L |
トランク | 709L |
後席を倒した場合 | 1739L |
その他仕様
0-96km | 1.99秒 |
400m | 9.23秒 |
最高速度 | 320km/h |
最高出力 | 1020馬力 |
航続距離 | 624km |
充電15分あたりの走行可能距離 | 299km |
参考 モデルSマニュアル
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