はじめまして、yoshiです。
テスラから発表され、2020年4月現在予約受付を開始しているパワーウォールの詳細や、実際の運用、テスラの車両への太陽光発電からの充電などについて書かさせて頂きます。
パワーウォールはどんな蓄電池なのか?
発表時の商品名としては「Powerwall(パワーウォール)2」となっております。すでに海外では発売済みで設置も徐々に進んでいますが、日本導入は2020年春頃を予定している住宅用の蓄電池になります。
設置事例
日本ではまだ住宅用のパワーウォールは本格導入されておりませんが、ハワイ全土の公立小学校は、太陽光発電と連携したパワーウォールから、クーラーへ電気を供給して島ならではの高額な光熱費問題を解決しています。
また日本では大阪府で近鉄電車が平日朝夕の通勤ラッシュのピークカットに役立たせるため、産業用のテスラのパワーパックを導入したりと徐々に導入が始まっています(4.2MW)
それでは、ここからパワーウォールの詳細について紐解いていきましょう。
中身の電池はテスラ車と同等
テスラの車両も含めて、電池はセルという乾電池のような形の電池本体を、バッテリーパックと呼ばれる電池の固まりの部品に構成します。ここまではパワーウォールも、テスラの車両用に使う電池も同じ構成をしており、同じラインで製造されています(テスラ・エナジー担当者談)
ここから、車両用と蓄電池用にバッテリーモジュールという形に、バッテリーパックを組み合わせて形を各々の製品に合うように更に形成し、製品となります。ただ、セル自体がパナソニックからの供給のものか、サムスン等からの供給品かは色々な噂がありますが詳細は不明です。
容量は13.5kWh
住宅用の蓄電池であることから、皆さんが気になるポイントとしては、まずは「容量」です。容量は13.5kWhあり、住宅用蓄電池の中では大容量の部類に入ります。
一般的な戸建住宅で4人家族の場合、ガス併用住宅の場合であれば1日の電気使用量は約15kWh前後、オール電化住宅は約20kWhが平均使用量になります。簡単に言えば、パワーウォール1個で約丸1日分の電気を賄うことができる容量になります。停電時は、パワーウォールから使う電気をご自身で制限すれば使える時間も長くなります。
※豆知識 消費電力が大きい家電:エアコンは立ち上がりで約1000W~2000W近く、 ドライヤーは1200W前後、電子レンジは500~800W、こたつは600W程度 (電気→熱に変換する家電製品は消費電力大) 消費電力が少ない家電:スマホの充電は5~10W、扇風機50W前後、LEDシーリング照明30W~ 非常時に使いたい家電:液晶テレビは200~400W(プラズマテレビは消費量大)冷蔵庫は250~400W 容量と使用量の考え方:合計1000Wを1時間使うと、パワーウォールから1kWh消費します。
13.5kWhという容量の蓄電池は、他の国内メーカーのラインナップを見ても、ここまでの大容量の蓄電池は少ないです。数少ないニチコンなどで揃えている大容量のラインナップは、かなり高額になっています。(ニチコン12kWhタイプ・ESS-H1L1 で定価420万円)
大出力で安心!
停電時、普段使いでも安心の大出力がポイントのパワーウォールです。停電時は、5000W出力がありますので、同時に色々な家電製品を使うことができます。
最大出力は7000Wまでの出力が可能となっており、4~5人家族で普通に暮らしていればオーバーすることは考えにくいレベルまでの電力をバックアップできます。
普段の使い方は?
蓄電池は停電の時にしか使えないわけではありません。普段は「電力会社からの買電量を減らして節約をすること」ができます。
太陽光発電がある場合
基本的には太陽光発電がある前提での設置をお勧めします。理由は「太陽光発電で作った電気を最大限有効活用できるから」です。
2020年現在、太陽光発電を設置されている方は、売電単価が30円後半から40円台の方はすでにFITの権利が残り数年になっているかと思いますが、設置から満10年経過した時点で約6円〜9円前後に売電単価が下落します。
2020年現在、電力会社から買う電気のた平均単価は28円以上となっており、「太陽光発電で作った電気を6円といった安い単価で売るぐらいなら、28円の電気を買わないように自分で使った方が得」という状況が発生しています。
そのため、FITがもうすぐ終了する方、もしくは最近太陽光発電を設置されて売電単価が20円前半の方は、蓄電池を設置して売電するより自己消費への対策を施していった方が得策であり、パワーウォールはその中の最適商品です。
話が逸れましたが、使い方としては普段は特に操作することはなく、自動で電気のやり取りを行ってくれますので、操作などは不要です。
設定としては「太陽光発電で作った電気をパワーウォールに貯める」、もしくは「深夜電力をパワーウォールに貯める」のかどちらかです。
ご自身の電力契約状況を見て、太陽光発電の売電単価>電気の平均買電単価※の場合は、「深夜電力をパワーウォールに貯める」使い方で、太陽光発電の電気は売った方が得でしょう。その場合、電力会社との契約を時間帯別契約にして、安価な深夜電力をパワーウォールに貯めて、夕方や雨天時に消費して、高い時間帯の電気の購入を極力行わないようにします。
反対に、太陽光発電の売電単価<電気の平均買電単価※の場合は、パワーウォール他蓄電池を設置して「太陽光発電で作った電気をパワーウォールに貯めて、夜や雨天時に使う」方が得でしょう。この場合も、地域差も大きいですが日本の天候としては平均して年間の3分の2が、太陽光発電が稼働できる晴天の為、この太陽のエネルギーで自給自足が可能になります。
※基本料金を除く、(使用料+再生可能エネルギー賦課金+燃料調整費)÷使用量
太陽光発電がない場合
太陽光発電がなくても、パワーウォール単体での設置もできます(基本は一戸建て)
テスラの予約ページで太陽光発電がない旨で予約をしようとすると2台見積前提になりますが、災害に対してどうしてお安心感が欲しい方以外は、個人的には必ずしも2台ある必要はないと思います。
停電の平均時間としては、年間10分程度となっております。災害時においては、電気が最も早く普及するため、大型台風等であれば長くとも2~3日で回復します。
住宅用蓄電池は、普段使いの時間の方が圧倒的に長いため、経済メリットを最も優先したい場合は、「パワーウォール2台分の25kWh分を使い切れない」場合があります。ご家庭の電気料金の明細をみてもらい、日割りして頂くと平均での1日の電力使用量が出てきますが、平均としてはガス併用住宅で10~15kWh、オール電化で15~20kWhです。ただしオール電化の場合は、深夜電力での使用量を抜いて計算してみてください(深夜電力時間帯はパワーウォールからでなく、深夜電力を使えばよいため)
太陽光発電がない場合は、運転方法は、「安い深夜電力をパワーウォールに貯めて日中に使う」という使い方になります。そうなると使用電力量が少ないご家庭は、2台設置の場合、2台目を結局使わずに勿体ないというケースが発生します。
勿論、2台設置の場合は余裕をもって1日分の電気をカバーできること、災害時も安心ということもありますので、ご家庭の使用電力量を確認してご自身に合う容量を選択してください。
単機能型蓄電池である点
住宅用蓄電池は、大まかに分類して2種類あります。「ハイブリッド型」と「単機能型」になります。その中でもパワーウォールは単機能型になります。
「単機能型」の良い点は、基本的には太陽光発電メーカーで左右されることなく蓄電池の後付け設置が可能な点です。そのため、太陽光発電もテスラで合わせないといけない、わけではありませんのでご安心ください。
テスラらしいポイント
テスラの車両と同じように「アプリで管理ができること」と、「アップデートで進化すること」が他のメーカーとは明らかに違う点です。
アプリで管理ができる
国内メーカーの多くはリモコンが付属しており、給湯器やインターホンと同じように壁に設置するタイプのリモコンがないとシステムが成り立ちませんが、パワーウォールは不要です!その代わりにスマホのテスラのアプリから管理します。
リアルタイムで電力会社からの電力購入量や、蓄電の残量なども確認することができます。設定などもスマホで簡単にできてしまうので、場所を選ばず管理ができますので、外出先からも電気をためる設定なども可能です。
アップデートして機能が追加されていく
テスラ製品全般に言えることではありますが、スマホのようにアップデートを行いさシンの機能を使えるようになります。パワーウォールも例外ではなく、ネット回線から不定期でアップデートをおこなうため、古くならず最新の機能を使うことが出来ます。
テスラ車両との連携は?
結論から申し上げると、パワーウォールからテスラ車両他EVへの充電は可能です。
日産のリーフやアウトランダーで可能なV2Hと呼ばれる、車両の電池から住宅側へ電気を供給することはテスラ車両ではできないことと、日産リーフをつないでもV2Hの機能を付帯していない為、住宅側へ電気を供給することはできません。
テスラの考え方としては、住宅の電気はパワーウォールで専門的に賄い、車両は車両での運用に徹する考え方のようです。リーフでのV2Hを繰り返しているオーナーの話をネットで拝見していると、V2Hによって電池の劣化がかなり早まっている様子です。
最大出力も連続で5000Wありますので、家の電気で仮に2000W使用していたとしても、残りの3000Wはテスラへ充電することができます。
太陽光発電の電気をテスラに充電するメリット
太陽光発電が現在自宅に設置済みの方、もしくはこれから太陽光もパワーウォールと同時に設置しようかと考えていらっしゃる方は、太陽光発電で作った電気でだいたいどれくらい運用できるか?の話です。
平均的な太陽光発電の設置量は4~5kWhとなっています。仮に5kWh設置されたとすると、メーカーやモジュール種類により結構左右しますが年間で仮に5500kW発電したとしましょう。年間の晴天率を60%と仮定したとすると、1日平均で約25kW発電します。
晴れていれば日中の在宅状況にもよりますが、太陽光発電搭載量5kWh前後場合、発電した電気の自己消費率が約30%のため、約17kWh余剰電力が発生します。
この17kWhの半分をテスラ(モデル3想定)に充電したとしましょう。そうすると電費150Wh/㎞の場合、約113㎞分(スタンダードレンジなら約28%、ロングレンジなら約22%)の走行できるエネルギーに変換できます。
ただし、ずっと充電していると車両が動かせないので、パワーウォールにこの太陽光発電の電気を充電しておけば、時間を選ばずテスラへの充電、夜や雨天時に太陽光発電で作った「タダの電気」の利用がしやすくなるわけです。
売電価格が下落しており、2020年現在新規で太陽光発電を設置される方は21円/kWhとなっており、この1日分の売電は357円にしかなりません。太陽光発電を既に設置済みの方は、設置から10年でFITが終了し約6円〜9円全での買取価格になってしまうので100円〜150円程度にしかなりません。
現在の世相の「売電するより自己消費」という潮流にはパワーウォールがあると、電気を有効活用できます。
設置時期はいつ頃?
2020年4月現在では、日本の規格であるJET認証が下りておらず実質的に設置は本格的に始まっていません。2020年2月のスマートエキスポでのテスラ担当者からの話では、2020年春頃に元々認証が下りる予定だったが難航している、とのことでしたのでコロナの影響でさらにいつになるか不明、という状況かと思われます。
またすでにバックオーダーをかなり抱えている様子で、JET認証が下りたとしても、全国で施工店が数社の状態のため、注文を入れても実際の設置時期は未定です。
「テスラ時間」が待てる方であれば、商品は非常に魅力的であることは変わりはありません。
設置工事および工事の流れ
設置工事としては、住宅の屋外を基本的は想定しています。壁掛けと床置きができますが、壁掛けはアメリカの住宅などを想定しており、日本の一般的な住宅では基礎を施工して床置きをおすすします。(重量が約114㎏あるため)
設置位置も南側ではなく、直射日光が当たらない北側などで風通りの良いところに設置をしてもらうのが無難です。
設置の流れ
1:オーダーをテスラのホームページから、車両の注文と同じように入れる
2:設置内容確認の連絡が入り、簡易的な現地調査などを行います
3:契約書の締結
4:認定施工会社の現地調査
5:JPEA事業計画認定や電力会社への系統連携の申請関係
6:実際の工事や設置、電力会社の立会検査など
7:引き渡し
工事自体は早ければ1日~数日で完了しますが、申請関係に最も時間がかかります。
パワーウォール詳細
・蓄電容量:13.5kWh
・最高出力:7kW(ピーク)/5kW(連続運転)
・対応機器:太陽光発電による自己消費/バックアップ電源/時間帯別制御/オフグリッド対応(準備中)
・拡張範囲:10台設置可能(並列)
・パワコン:内臓(太陽光接続は並列接続)
・動作温度:‐20℃~50℃
・寸法:幅753mm×高1150mm×奥行147mm
・重量:114㎏
・認証:北米および国際規格準拠(2020年4月現在JET認証申請中)
バックアップ・ゲートウェイ
役割としては、電流計測センサーにより海底内の電気の流れの把握、測定を行います。またここに搭載しているソフトウェアでパワーウォールを制御します。また停電時は、系統連系(電力会社との電気やり取り)を遮断し、自立運転に切り替えるための役割も担っています。
・寸法:幅380mm×高584mm×奥行127mm
・重量:11.4㎏
・設置:屋内屋外どちらも可。壁掛け想定。メイン分電盤もしくは特定負荷分電盤付近
※写真はパワーウォール本体とゲートウェイ本体(2020年2月スマートEXPOにて)
筆者について
某メーカー勤務で、下記サイトでも記事提供を行っています。パワーウォール、私のモデル3を参考にした実際の運用コスト、太陽光発電等がもしあった場合の想定コスト等の記事もご覧ください。他にも住宅用の設備機器の記事を執筆しています。テスラ以外の蓄電池のこと他、是非参考になさってください。
コメント
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