日産が満を持して発表した新型クロスオーバーEV「アリア」と飛ぶ鳥を落とす勢いのテスラモデルYを様々な面から比較してみたいと思います。
外寸
画像:日産
アリア | モデルY | |
全長 | 4595mm | 4751mm |
全幅 | 1850mm | 1920mm |
全高 | 1655mm | 1624mm |
重量 | 1900-2200kg | 2003kg |
ホイールベース | 2775mm | 2890mm |
エクステリアはモデルYの方が全体的に大きめ。
モデルYはボンネットが低く、ノーズが下がっているのに対し、アリアはノーズ付近がゆったりとした面構えで数値以上に全高が高く感じます。
機械式駐車場
全幅 | 車高 | 車重 | アリア | モデルY |
1850mm | 1550mm | 2000kg | × | × |
2050mm | 1550mm | 2500kg | × | × |
1850mm | 1750mm | 2500kg | ○ | × |
2050mm | 1750mm | 2500kg | ○ | ○ |
1850mm | 2000mm | 2500kg | ○ | × |
2050mm | 2000mm | 2500kg | ○ | ○ |
1850mm | 2100mm | 2500kg | ○ | × |
2050mm | 2100mm | 2500kg | ○ | ○ |
※黒→乗用車、青→ミドルルーフ、赤→ハイルーフ
※一般的な制限表。全長はクリアしてるので省略
ご覧の通り、機械式駐車場に関してはアリアの方が選択肢は多いでしょう。
両車ともに全高が1550mmを超えているので機械式駐車場ではミドルルーフかハイルーフ対応のところしか利用は出来ません。そしてアリアは全幅が1850mm、モデルYは1920mmとなっている為、都心部の駐車場事情を考えるとアリアに軍配が上がります。
スペック・価格・航続距離
アリア2WD(FF) | アリア4WD | モデルY AWD | モデルY P | |||
バッテリー | 66kWh | 91kWh | 66kWh | 91kWh | 82kWh | 82kWh |
価格 | 539万円〜790万円 | 約600万円 | 約650万円 | |||
航続距離(WLTP) | 356km | 496km | 337km | 456km | 542km | 528km |
0-100km/h | 7.5s | 7.6s | 5.4s | 5.1s | 5.1s | 3.7s |
最高時速 | 160km/h | 160km/h | 200km/h | 200km/h | 217km/h | 241km/h |
荷室 | 466L | 408L | 1925L(最大) |
※アリアのWLTP数値は日産UKから参照
75kWhバッテリーを積んだモデルYと91kWhバッテリーを積んだアリアの航続距離はほぼ同じ。電費の良さ、空気抵抗の低さ、モーターの効率、加速の俊敏性はモデルYの圧勝となりそうです。
ベースグレードの比較
アリア2WD FF | モデルY SR | |
バッテリー | 66kWh | 60kWh |
価格 | 539万円 | 400万円台後半 |
航続距離 | 356km(WLTP) | 455km(EPA) |
0-100km/h | 7.5s | 5.6s |
最高時速 | 160km/h | 217km/h |
今後テスラはモデルYロングレンジRWDを販売する計画があり、日本円でおよそ500万円台後半となる見込み。お互いに一番安いグレード同士で比較してみましょう。
中国工場で生産したモデルYの方が大幅に安く買えることになりそう。
アリアの強み
ユニークなデザイン
インテリアとエクステリアには日本伝統の組子から着想を得た立体的なパターンが刻まれています。組子パターンの奥にライトが仕込まれていて陰影が実に日本的で美しいですね。素晴らしいデザイン。
画像:日産
インストルメントパネルにはハプティック(触覚)ボタンが表示されており、押すと振動によるフィードバックが得られます。
流石に完全な物理ボタン排除はしてきませんでしたが、見た目のシンプルさには一役買っていると思います。
サービス拠点の多さ
日本全国に約2100店舗を構える日産のサービス網はテスラに圧勝しています。(テスラは大阪、名古屋、横浜、東京の4箇所、しかも週末は休業)
メンテナンス部品の少ないEVと言うことに加えて安心の日産製と言うこともあり、入庫する機会は少なそうですが、日本全国どこに住んでいる人でも一定の安心感があります。
品質
車体組み付けの品質もアリアが圧勝することが目に見えています。
テスラの場合、生産初期段階の車は塗装に傷が入っていたり、パネルのズレ、パーツの欠損が高い確率で発生しています。
地に足ついた運転支援機能
アリアの最上位グレードにはプロパイロット 2.0が標準搭載されます。(オプションとなるグレードは未発表)
画像処理チップはMobileyeの「EyeQ4」を使用。高精度地図データと準天頂衛星システムを用いて車両横方向で5cm、前後方向で1m以内の測位精度を実現。様々な要因で車載カメラでレーン認識ができない場合、高精度地図とGPS情報で補完しながら走行する事ができます。
プロパイロット 2.0は日本中に張り巡らされている高速道路を全て試験走行し、カーブの曲率や勾配も地図データに組み込まれており、赤外線カメラでドライバーを監視している為、ハンズフリーでの走行が可能。(高速道路のみ)
V2H
画像:日産
日産のEVと言えばV2H(Vehicle to Home)
パワームーバーという外部機器を接続すれば災害時やアウトドアなど、いつでも好きな場所で車から電気が取り出せます。(15A、3回線)
アレクサ
アマゾンが提供する音声サービス「アレクサ」も日産車として初めて搭載。
ハローニッサン、アレクサまたはステアリングボタンで起動できるそうです。ナビの設定にも使えるなら微妙なニュアンスも上手く汲み取ってくれそうな気がします。
音楽再生や通話、自宅のスマートホーム機器操作なども可能。ガレージシャッターとの連携なんかも期待できますね。
テスラの音声認識も精度はかなり高いですが、ある程度決まった文言でないとナビ設定は出来ません。
インテリジェントアラウンドビューモニター
アリアはデジタルバックミラーを採用しているので、ラゲッジに荷物をたくさん載せても後方視界が遮られることはありません。
車両付近の全周がカメラで確認できるアラウンドビューは駐車時や狭い路地を通過する際にかなり役立ちます。
画像:TMC
モデルYは通常のミラーであることに加えて、後方視界がとても狭いです。(後続車両の下半分は見えない)
そして車両を道路の端に寄せるときは勘を頼りにするしかありません(超音波センサーは全く当てにならない)
モデルYの強み
シンプルなインテリアと巨大ガラスルーフ
運転で使用する物理ボタンはステアリングホイールとハザードボタンのみ。残りのボタンは全てタッチパネルに表示されているため、アップデートが繰り返されていく中で最適な場所に再配置されていきます。
空調の風向きまでタッチパネルで操作。
オートパイロット標準搭載
FSD(完全自動運転)は87.1万円のオプションですが、通常のオートパイロット(単一車線での運転支援)は標準で搭載されています。
アリアの場合、プロパイロット 2.0は最上位グレードのみ標準搭載。それ以外のグレードではオプションもしくはプロパイロット 1.0である可能性があります。この辺は未発表なのでなんとも言えませんが、スカイラインの場合ハイブリッドを除くグレードにはプロパイロット 1.0すら付いておらず、アリアもそうなる可能性あるかも。
モデルYは必要なハードが最初から備わっているので、FSD機能が欲しくなったらネットを介して追加購入できるのも良いところ。
将来性
EyeQ4(アリア) | テスラFSD(NNA※) | |
情報処理能力(1秒間) | 2.5兆回 | 72兆回 |
消費電力 | 3W | 15W |
※ニューラルネットワークアクセラレータ
テスラの場合、自動運転レベル3と4をスキップしてレベル5の実現にフォーカスしています。演算チップもそれを見越したものがすでに標準搭載されています。
テスラのFSD(完全自動運転)ユニットには36兆回計算できるチップが2つ搭載。それぞれが独立してデータ処理し、同じ計算結果である事を確認して命令を下します。仮にどちらかのチップに不具合が起きても片方のみで完全自動運転を継続する事が可能な設計になっています。
チップよりも人間の方が不具合(居眠りなど)を起こす可能性が高い。
充電スピード
モデルYは最大250kW、アリアは最大130kWで充電可能、約2倍の違いがあります。
テスラのスーパーチャージャーV2は最大150kW。スーパーチャージャーV3は最大250kWでの充電が可能です。
ご存知の通り、日産は全国のディーラーに44〜90kWの急速充電器を設置しています。2021年度内には最大150kWのCHAdeMO急速充電器を公共性の高い場所(SAやPA?)で設置する事が決まっています。
モデルYはアダプターを使用する事でそれらの急速充電器を使用する事が可能。(最大50kWですが、アダプターのアップデートが可能なので出力アップが期待されています)
数は少ないながらもテスラはすでに最大150kWの充電器を主要な場所に展開済み。V3の設置が進めばアリアの最大2倍高速な充電が実現します。
収納
画像:driven
もはやテスラのアイデンティティとなっていますが、モデルYにはフロントトランク(フランク)が存在します。一方、アリアはボンネットダンパー無し、ユニットカバー無しで空洞が目立つ空間となっています。
分割可倒式リアシート
モデルYのリアシートは40:20:40の可倒式。長尺物の収納がし易く、使い方に幅を持たせる事ができます。
画像:日産
対してアリアはよくある60:40のリアシート。
対生物兵器モード(HEPAフィルター)
馬鹿げているかも知れませんが、モデルS、X、Yには対生物兵器モードが存在します。
少なくともモデルS、Xには医療用のHEPAフィルターが搭載されており、車内に陽圧をかけ空気を循環させる事によって車内の空気中からウィルスやバクテリア、においを取り除くことができます。
花粉の時期に最適。
スマートな充電ポート
※写真はモデル3
モデルYの充電ポートは電動式です。指で押すか、SCプラグに付いているボタンを押せばポートが開き、プラグを挿すだけで認証と充電を自動で行ってくれます。SCプラグを抜いた後は放っておくと自動でポートが閉じます。
エクステリアデザインに影響を与えない位置と言うのも魅力の1つですね。
アリアは運転席側が普通充電、助手席側が急速充電と分かれており、充電のたびにどちらへ移動するか考えなければなりません。急速と普通充電ポートを間違えると太いコードを引きずって大まわり。。しかも蓋はプッシュ式の手動&2重蓋なので開けたり閉めたりが非常に煩しそうです。
アリアユーザーのほとんどがZESP3カードを使って充電すると考えると、毎回認証機にZESPカードをかざす手間もありますね。
巨大スクリーンでのエンターテイメント
映像系はYouTube、Netflix、Twitch
ゲーム系はポリトピアの戦い、キャットクエスト、ソリティア、ビーチバギーレーシング、カップヘッド、Fallout Shelter
定期的にコンテンツは追加されていて、今は充電中のエンタメとして使ってますが、将来的には自動運転中のエンタメとして活用されるかもしれません。
まとめ
アリアがおすすめな人
・故障やメンテナンスのサポートを気軽に受けたい
・V2H機能が欲しい
・車体の組み付け精度が気になる
・アリアのデザインが好き
・アレクサを車内で使いたい
・高速道路をハンズフリーで走行したい
モデルYがおすすめな人
・スポーティな走りを楽しみたい
・完全自動運転の実現にワクワクしたい
・会社のスピード感が好き
・収納の多さ、使い勝手が重要
・スーパーチャージャーが近くにある
・テスラのデザインが好き
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